孤高の画家 田中一村

             「アダンの海辺」1969千葉市美術館寄託 個人蔵(美術手帖より転載)

田中一村(1908 - 1977)は、1980年にテレビ局のディレクターが奄美大島を訪れた時に、民家にさり気なく飾ってあった絵画に魅了されたことから始まります。中央画壇に認められることなく南の島で生涯絵を描いた孤高の画家です。没後、評価されるようになりました。

若いときは神童と呼ばれ、さまざまな賞を授賞している。にもかかわらず画壇から評価を得られなかた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真出典:cdn2.mynvwm.com

栃木県に生まれ、幼少期より南画(中国の南宗画に由来する絵画)を描いていた一村は、1926年に東京美術学校に入学をするもわずか2ヶ月で退学。以降は独学で絵を描き続けた。千葉で写生に没頭し、新しい創作への道を模索するも、50歳のときに単身で鹿児島県・奄美大島に移住。69歳で亡くなるまで、生活のすべてを絵のために捧げ、亜熱帯の植物や鳥などを題材とした生命力あふれる新たな日本画の世界を切り拓いた画家だ。

 生前、作品発表の機会に恵まれなかった一村だが、没後の1980年代にテレビなどで紹介されるとその名は全国に知られるようになる。(美術手帖より転載)

(注)「阿檀(アダン)」の木は、奄美大島以南の島に分布するタコノキ科の常緑高木
海岸近くに生え、パイナップルの形に似た実をつける